電車での出会い

IBJの定期研修会に出席するため、JR岡崎駅の改札をぬけたところで、
「大垣行き10:55発の列車がまもなく到着します。」
と、アナウンスが入りました。
おや?と思い、自分の時計を見ると、11:34。
時計が狂ってしまったのかな?と思いつつ、電車に飛び乗ると、
豊橋ー岡崎間が強風の為、39分遅れています。」
というアナウンスがありました。
席が空いていたので、隣の方に
「よろしいですか?」と声をかけて席に付きました。
電車が出発し、5分程過ぎた頃、お隣の女性(20歳前ぐらいかな?)が、
「今、何時ですか?」と聞かれたので、
「11時40分ぐらいよ。」と答えると、
「12時までに金山に到着するかな?」
と、心配そうにしていました。
「ちょっと難しいかもしれないわね。でも、到着するといいわね。」
などとお話しをしました。
なんとなく、お顔の感じが異国的で、彫りの深い、目の澄んだ可愛い娘さんです。
「あら、キレイなバラね。どなたかにプレゼントなの?」
とお聞きすると、
「今日は、お母さんの誕生日なの。お母さんは、お花が大好きで、バラの花を3本かってプレゼントするの。お母さんは、とても大事だから。
金山で待ち合わせをしているけど、40分も遅れているから、お母さん、心配していると思うの。お母さん、日本の字、読めないから…」
「大丈夫よ。駅の中でも、きっと、電車が遅れることをアナウンスしていると思うわよ。それよりも、携帯をかけてみたら?」
「私もお母さんも、携帯を持っていないの。きっと、金山でお母さん困っていると思うけど、探せるかな?」
とても不安そうでした。
「大丈夫、きっと大丈夫よ。今日一日が楽しい一日なるといいね。」
彼女はニコッと笑い、
「お花をプレゼントして、一緒にお昼ご飯を食べて、ケーキを買ってあげるの。私、働いているから、お金は全部私が払うの。」
いろいろと、そんなお話しをしているうちに、電車は金山に到着しました。
「お母さんと楽しくね。さようなら。」
と私がいうと、再びニコッと笑い、
「ありがとう、さようなら。」と小さく手を振って降りていきました。

おそらく、ブラジルの方かな?と思いました。とても若い子なのに、一生懸命に生きている彼女の優しさに心を打たれました。
なんらかの事情があって、日本で生活をしているのでしょう。
これから先もずっと頑張って生き抜いてほしい。
幸せになってほしい…心から強く思いました。

袖振れあうも、多少の縁といいます。
ほんのひとときのふれあいでしたが、心があたたかくなる出会いでした。