親心 子心

先日、S子ちゃんのお母様が心配そうなご様子で来社されました。
S子ちゃんは、他の相談所の会員O君とパーティーでマッチングされ、その後、ご交際中です。
お母様のお話をいろいろとお伺いすると、お母様はOさんに対して、あまり好意的ではないごようすです。
理由は、お母様にとってはいろいろとある様です。
お父様は途中まではお二人に対して応援していた様ですが、O君に何度もお会いになり、いろいろとお話を重ねていくうちに好意が持てなくなっていったご様子です。
S子ちゃんとO君はなんとかお互いの気持ちを理解してもらおうと、何度かご両親とお会いになり、努力をされた様ですが、平行線のまま、1年が経ってしまいました。

S子ちゃんにもお話しを伺ってみると、
「Oさんにも良いところがいっぱいあるので、それを両親に話しているのですが…いくら話しても聞く耳を持ってくれなくて駄目なのです…
両親にはどうしても賛成してもらって結婚したいと思っているんですが…」
と、苦しんでいます。
S子ちゃんは、O君の事が本当に好きなんでしょうね。
お母様に、
「子供を思う気持ちは痛いほど分かりますが、自分の子を信じてやる事も大切な事のような気がします。S子ちゃんは、とてもしっかりした、気持ちの優しいお嬢さんなので、きっと自分自身で納得のいく結論を出されると思いますよ。親と一緒に暮らした倍の人生を結婚する方とは生活を共にしていかなければならない事になりますものね。
それから、いくら親でも子供の心の中まで入り込む事は出来ないですよね。ましてや、子供の人生を決める事なんて、いくら親でも出来ないですよ。親が出来る事は、子供を信じる事ぐらいしか出来ないと思いますよ。」
とお話させていただきました。
お母様は、どれだけお話させていただいても、やっぱり嫌なものは嫌なご様子で、
「S子にまた良い方がありましたら、ご紹介ください。」
と言って帰って行かれました。
私も、
「S子ちゃんの太くて強い赤い糸はどこに繋がっているのかな?」
としばらく考え込んでしまいました。
<親の心 子知らず  子の心 親はわからず…>
きちんとしたご家庭で、お互い愛情の深い親子であるだけに、より複雑に難しくなってしまう様な気がします。